相続の手続きをする際にいろいろと重要になってくる書面。
実は、トラブルのない相続のために大切なのは、それぞれの書面の効力をしっかり知っておくことなんです。
今回は、生前贈与や遺贈があった相続の手続きの際にかかわってくる「特別受益証明書」の基本的な知識について、ご案内していきたいと思います。
相続にかかわる特別受益証明書とは?作成するメリットも
遺書の確認や相続税の申告など、相続に関してやるべき事柄にはいろいろなものがありますよね。
そして、相続のさまざまな手続きに必要になってくる書面にも、役割をあらかじめ知っておくことがプラスになるものが多くあります。
今回注目したいのは、「特別受益を受けたので遺産はいりません」という意思表示でもある「特別受益証明書」について。
特別受益証明書
特別受益証明書を作成するのは、相続人でありながら特別受益者でもある方です。
この特別受益者には、被相続人から遺贈を受けた方や被相続人から婚姻・養子縁組・生計の資本として生前贈与を受けた方が該当します。
特別受益証明書を作成することで、複数の相続人がいる場合でも遺産分割協議に参加する必要がなくなるなどのメリットのほか、不動産などの相続登記や名義変更に使えるなどのメリットもあります。
特別受益証明書の作成方法とその注意点とは?
実は、指定された書式がないという特徴を持つ特別受益証明書。
特別受益証明書のタイトル書きをした上で、被相続人の氏名と最後の住所、作成年月日や作成者の氏名や住所とともに、「特別受益がすでに存在するため相続分がないことを証明する」という趣旨の文言を記し、実印の押印が一般的です。
不備のない確実に有効な書面とするためにも、作成の際には法律の専門家に相談するようにしましょう。
前述したように、特別受益証明書を作成することで得られるメリットもありますが、生前贈与や遺贈によっては、贈与税や相続税がかかることがあります。
追加税などのトラブルに発展させないためには、しっかりと事実に基づいた特別受益証明書を作成することが大切です。
また、注意しておきたいのは、特別受益証明書はあくまでも「プラス」となる遺産について「いりません」と意思表示をするものだということ。
被相続人が「マイナス」である負債を抱えていてそれを相続したくない時などには、特別受益証明書を作成するのではなく、相続放棄が必要になります。
特別受益証明書の役割を相続放棄と混同してしまい、相続で揉めないようにとしたことが裏目に出てしまう場合もありますので、不安がある場合は、できるだけ早い段階で法律の専門家に相談するように心がけておきましょう。